セクハラを通じて考える、介護士へのハラスメントはなぜなくならないか

「ハラスメント」という言葉が日本に浸透して久しいですが、それだけ根深い問題としてこの国に残り続けているという意味でもあります。介護業界についても同じことが言えますが、それが問題であるということはわかっているのに、なぜハラスメントはなくならないのでしょうか。

その原因の一つとして、ハラスメントに対する犯罪意識がないことが考えられます。ハラスメントは身体的、精神的な嫌がらせで他人を害する行為であり、それは傷害罪や侮辱罪などの犯罪になります。労働に関するパワハラも、労働基準法違反になる恐れがあるのです。しかし、それがいったんハラスメントという言葉になると、社内で解決することのように思われてしまうのです。

その最たる例が性的なハラスメント、いわゆるセクハラです。男女問わず性的に人を傷つける卑劣な行為ですが、実は日本にはセクハラを直接罰する法律はなく、強要罪などの別の法律に当てはめて解釈するしかないのが現状です。

そして、セクハラに関する法律がないということは、セクハラの厳密な定義も存在しないということになります。その結果、どこからどこまでがセクハラなのかが加害者も被害者もわからず、そのまま流されてしまうことがあり得るのです。

また、セクハラの標的は強く言い返せない気弱な人がなることが多く、そんな人は自分が耐えればと我慢しがちです。つまり、ハラスメントがなくならないのはそれに対する法律の認識が不十分であり、その結果被害者も相談するべきか判断に困るという理由が考えられるのです。