ハラスメント、という言葉が日本に浸透して久しいですが、それだけこの国に根深く残り続けている問題であるとも言えます。それは、ハラスメントを行う人が後を絶たないこともさることながら、ハラスメントを受けやすく、また相談できない人がいることも大きな一因です。
それは、介護の現場でも例外ではありません。ハラスメントを受けやすい人には、共通したいくつかの特徴があります。まず、基本的に真面目で気の弱い人が標的にされがちです。真面目な人は注意されるとそれを真剣に聞き入れるので、度を越した指導やサービスの要求でも受け入れてしまいがちです。その上で気が弱いと、中々不満を表に出すことができず、仮に表に出しても、強く言い返されると押し黙ってしまいがちで、結果的に慢性的なハラスメント被害に陥ってしまうのです。
また、仕事のミスが多かったり、逆に自分が優秀であることをひけらかしたりすると、周囲の人からの反感を買い、「指導」の対象になってしまいます。コミュニケーション不足で職場で孤立していても、同様にハラスメントの対象になりやすくなります。
そういった人が頼れる人がいないことを知って、攻撃に出るのです。逆に言えば、これらの特徴と逆になるように意識すれば、スタッフや利用者からのハラスメントを防ぐことができるとも言えます。
つまり、過度に従順にならず、自分の考えをもって堂々とすること、自分の能力を把握し、適切な態度を取ること、そして普段から周りの人とコミュニケーションをとり、良い人間関係を構築することです。これらは基本的ですが、それゆえに最も重要なことなのです。